東京都｜解体・ブロック塀撤去・耐震化・不燃化特区・アスベスト・建設リサイクル法の完全ガイド
最初に押さえる3原則（結論）
- 制度適合の一次判定を最初に：ブロック塀の安全対策／木造・非木造の耐震化／不燃化特区の老朽除却・建替支援／アスベスト／建設リサイクル法の該当可否を計画初期に確定。
- 交付決定前の契約・着工はNG：原則は申請→交付決定→契約→着工→完了報告。順序違反は不支給・差戻しの典型。
- 相見積は同一仕様で：本体、付帯（外構・残置・地中障害）、仮設/養生、運搬/処分、石綿、近隣対策を分離し、数量根拠写真と処分先ロジックまで明記。
東京都では、区市町村ごとに助成・手続の運用が異なります。都の全体方針＋各区市町村の要綱を二段で確認し、計画と工程を同時並行で固めましょう。
東京都の主な制度（カード＋比較表）
ブロック塀等の安全対策（都の支援＋区市町村補助）
- 位置づけ：各区市町村が撤去・改修・新設等の補助制度を運用し、東京都は区市町村を財政支援（促進事業）。
- 実務：申請は設置場所の区市町村へ。危険度判定・基礎撤去の原則・新設の構造条件などは要綱で確認。
- 一次情報：東京都耐震ポータル：ブロック塀の安全対策
耐震化（診断・改修・税制・融資）
- 位置づけ：都は耐震化の総合ポータルを整備。区市町村の補助、税の軽減、融資制度、医療・学校施設の支援等を案内。
- 実務：木造（旧耐震）の診断・改修、非木造の耐震化、マンション、公共性の高い施設など、対象と窓口が分かれるため、項目別に確認。
- 一次情報：東京都耐震ポータル：耐震化助成制度
不燃化特区（老朽建物の除却・建替支援）
- 内容：木造密集地域の災害リスク低減を目的に、老朽建築物の除却費、建替え設計・工事費等を支援（各区の制度設計に依存）。
- 期間：代表的な支援は令和7年度までの運用が明示。
- 一次情報：東京都：不燃化特区の制度
アスベスト（石綿）手続（事前調査・電子報告・掲示）
- 義務：全ての解体・改修で事前調査が必須。一定要件で事前調査結果の電子報告が必要。
- 周知：調査結果の現場掲示・記録保存・リスクコミュニケーション。
- 一次情報：都のリーフレット … アスベスト事前調査の手引 ／ 国の電子報告 … 石綿事前調査結果報告システム
建設リサイクル法（分別解体・事前届出）
- 対象例：建築物の解体80㎡以上 等。届出は着工7日前までが原則。
- 窓口：規模・場所により都または各区市町村。最新の受理窓口一覧で確認。
- 一次情報：届出受理窓口一覧（東京都 都市整備局／PDF） ／ 手引（公共工事版／窓口案内あり）
| 制度名 | 主な対象 | 助成・届出の考え方 | 重要条件 | 一次情報 |
|---|---|---|---|---|
| ブロック塀の安全対策 | 道路等に面する危険な塀 等 | 各区市町村が補助、都が財政支援 | 申請は設置場所の区市町村へ | 都ポータル |
| 耐震化（診断・改修） | 木造・非木造・共同住宅 等 | 区市町村補助＋税制・融資の活用 | 対象・窓口は用途ごとに確認 | 都ポータル |
| 不燃化特区 | 木密地域の老朽建物 等 | 除却・建替の設計/工事費を支援 | 支援内容は各区制度に依存 | 都サイト |
| アスベスト（石綿） | 全解体・改修（規模要件あり） | 事前調査→電子報告→掲示・保存 | 期日・様式遵守 | 都／国 |
| 建設リサイクル法 | 解体80㎡以上 等 | 着工7日前までに届出 | 都or区市町村の窓口を一覧で確認 | 都PDF |
申請〜交付〜完了までの実務フロー
- 現況整理：所在地、構造・築年、延床/階数、前面道路幅員、塀高さ/延長、ライフライン引込、隣接用途（学校・病院・商店等）、石綿予測。
- 制度当て込み：ブロック塀／耐震／不燃化特区／アスベスト／建リ法。併用可否と時系列を確定。
- 見積仕様の統一：本体、付帯（外構・残置・地中障害・井戸/浄化槽）、仮設/養生、運搬/処分、石綿（調査→電子報告→除去→処分）、近隣対策を分離記載。
- 交付申請：写真・図面・工程表・見積内訳・資格情報を添付。交付決定前の契約・着工は禁止。
- 交付決定→契約→着工：決定通知後に契約。作業時間帯、散水、騒音/振動/粉じん計測、掲示、苦情初動を工程表へ。
- 完了報告・精算：前中後写真、領収書、産廃マニフェスト、契約関連写し→額確定→請求。
- 解体後：滅失登記、固定資産税の取扱い確認、次用途（建替/売却/暫定活用）。
見積と費用設計（相場・内訳・落とし穴）
都内は細街路・学校周辺・商業集積など条件差が大きく、仮設・交通誘導・運搬/処分の設計差が費用に直結します。相見積の可視化には以下が有効です。
- 付帯の線引き：塀・基礎・庭木・門扉・看板・残置物・地中障害（旧基礎/ガラ/井戸/浄化槽）。
- 仮設/養生：足場、仮囲い、防音/防塵シート、散水、誘導員、計測頻度。
- 分別・処分：木/金属/コンクリ/石膏ボード等の分別。処分場・積替え有無と単価根拠。
- 石綿：調査資格、分析、隔離/陰圧、除去工法、処分、掲示・記録。
- 追加費用条件：地中障害、時間帯制限、臨時誘導などは契約条項で事前定義。
典型的な失敗：「一式」見積／交付決定前契約／工程表省略／石綿別精算／写真不足。変更管理（承認フロー）を契約に明記して双方のリスクを低減します。
アスベスト（石綿）：事前調査・電子報告・届出
- 事前調査義務：全ての解体・改修で有資格者が調査し、記録保存。
- 電子報告：要件該当工事は、国の石綿事前調査結果報告システムから電子申請（gBizID必要）。
- 掲示・周知：調査結果の現場掲示、住民説明、写真記録の保存。
- 都の案内：留意点やフローをまとめたリーフレットを参照。
建設リサイクル法：届出の考え方と窓口
- 対象：建築物の解体80㎡以上 等（新築/増築・修繕等の規模要件あり）。
- 期限：工事着手の7日前までに届出（発注者提出、代理は委任状）。
- 窓口：工事場所・規模により、東京都または区市町村が受理。最新の「届出受理窓口一覧」PDFで確認。
不燃化特区：老朽建物除却・建替え支援
- 老朽除却：要件を満たす老朽建物の除却費を助成。建替えをしなくても支援（条件あり）。
- 建替支援：設計・監理費や工事費の助成、固定資産税等の減免（要件あり）。
- 補足：具体的な対象・上限・手順は各区の要綱に依存。
近隣配慮・安全管理・トラブル未然防止
- 着工前周知：工期・作業時間・車両動線・粉じん/騒音対策を周知。学校・病院・商店街は時間帯調整。
- 掲示・計測：石綿掲示、工程掲示、騒音/振動/粉じんの定期計測と記録化。日報・週報で可視化。
- 安全計画：仮囲い高さ、転倒防止、見通し確保。交差点・狭隘路は誘導員を強化。
- 初動対応：苦情→原因特定→是正→再発防止までのフローを契約書に反映。
提出書類チェックリスト
- 共通：申請書、誓約/同意、委任状、登記事項証明、税完納証明、位置図、配置図、現況写真。
- 見積・契約：見積内訳、数量根拠写真、工程表、契約書案/契約書、施工体制（資格/登録写し）。
- ブロック塀：危険度判定、配置図、高さ/延長根拠、撤去前後写真。
- 耐震化：診断報告、評点、補強設計、施工計画、完了実績。
- アスベスト：事前調査記録、電子報告控、（該当）届出控、掲示様式、作業計画、処分証。
- 建リ法：届出書、分別解体計画、図面、工程表、契約書写し、委任状、写真（正副）。
- 完了：前中後写真、領収書、産廃マニフェスト、契約関連写し。
よくある質問（東京都）
ブロック塀の補助は都に申請しますか？
申請先は設置場所の区市町村です。東京都は区市町村の取組を財政支援し、全体を推進しています。個別の上限・条件は各自治体の要綱を確認してください。
建設リサイクル法の届出はどこへ？
工事場所・規模等により都または区市町村が窓口です。最新の「届出受理窓口一覧（東京都）」PDFで必ず確認してください。提出期限は着工7日前が原則です。
不燃化特区で除却だけ支援されますか？
要件を満たす老朽建物は建替えを伴わなくても除却費助成の対象になり得ます（各区の制度設計・期間要件に従います）。
アスベストの電子報告はどこから？
国の石綿事前調査結果報告システムで申請します。東京都のリーフレットに流れと留意点が整理されています。
一次情報リンク一覧（都公式・国）
- ブロック塀の安全対策 … 東京都耐震ポータル
- 耐震化助成制度・税・融資 … 東京都耐震ポータル
- 不燃化特区（制度・支援概要） … 東京都都市整備局
- アスベスト：事前調査の手引（掲示・報告先 等） … 東京都環境局PDF
- 石綿事前調査結果報告システム（電子報告） … 厚生労働省
- 建設リサイクル法：届出受理窓口一覧（最新） … 東京都 都市整備局PDF
- 建設リサイクル法：手引・相談窓口（公共工事版） … 東京都 都市整備局PDF
※助成額・要件・受付状況は年度や区域、要綱改定で変更される場合があります。申請直前に必ず最新の一次情報（東京都公式・区市町村公式・国のシステム）をご確認ください。
