横浜市の解体工事完全ガイド|費用相場、補助金、必要な届出、業者選びまで徹底解説
1. 横浜市の解体工事の費用相場(構造別)
横浜市で解体工事を行う場合の費用相場は、建物の構造によって異なります。以下の金額はあくまで目安であり、立地条件(狭い道路、坂道など)やアスベストの有無によって大きく変動します。
特に横浜市は坂道や狭隘(きょうあい)道路が多く、重機やトラックが現場に入れない場合は手作業での解体(手壊し)となり、相場より人件費・工期が加算される傾向があります。
| 建物の構造 | 解体費用(坪単価) | 備考 |
|---|---|---|
| 木造(W造) | 40,000円~60,000円 / 坪 | 一般的な戸建て住宅。重機が入れないと高額に。 |
| 鉄骨造(S造) | 60,000円~80,000円 / 坪 | 軽量鉄骨(プレハブ)か重量鉄骨かで変動。 |
| 鉄筋コンクリート造(RC造) | 70,000円~100,000円 / 坪 | 頑丈な分、工期が長く費用も高い。騒音・振動対策が必須。 |
※注意: 上記はあくまで建物本体の解体費用です。実際には、ブロック塀の撤去、庭木・庭石の撤去、駐車場(コンクリート)の解体、地中埋設物などの「付帯工事費」が別途必要になります。
2. 【重要】横浜市で使える解体工事の補助金・助成金
横浜市では、防災・安全対策として解体・撤去工事に関する補助金制度を設けています。補助金は工事の契約・着工前に申請し、「交付決定」を受ける必要があります。
| 補助金制度名 | 対象 | 補助内容(上限額) | 主な条件 |
|---|---|---|---|
| 木造住宅除却補助制度 | 平成12年5月31日以前に着工された木造住宅 | 建築時期により変動 ・旧耐震(~S56.5.31):上限50万円 ・新耐震(~H12.5.31):一般 上限20万円 / 非課税 上限40万円 |
耐震診断の結果、倒壊の危険性があると判断されたもの。 |
| 危険ブロック塀等除却費補助 | 道路に面する危険なブロック塀 | 塀の長さに応じて変動 ・10m未満:上限30万円 ・20m以上:上限50万円 |
高さ1.2m超(または1m超で危険判定)、または市の診断で危険と判断されたもの。 |
これらの補助金は年度ごとに予算が決められており、早期に受付を終了する場合があります。解体を検討し始めたら、まずは横浜市役所の担当窓口(建築防災課など)に事前相談することをおすすめします。
3. 横浜市の解体工事で必須の届出と手続きの流れ【完全版】
解体工事は「やれば終わり」ではなく、法令に基づく多くの届出が必要です。特に横浜市は、国の法律に加えて市独自のルールがあるため注意が必要です。届出を怠ると罰則(罰金・懲役)の対象となるため、必ず確認してください。
- 近隣への挨拶
工事着工の1週間~10日前までに、工事業者と一緒に近隣(両隣・向かい・裏手)へ挨拶回りをします。工事期間、作業時間、連絡先を明記した書面を渡しましょう。 - アスベスト(石綿)事前調査・報告
すべての解体工事で、アスベスト含有の有無を事前に調査する義務があります。調査結果は施主(発注者)にも書面で報告され、現場への掲示が必須です。一定規模以上の工事では、横浜市への電子報告も必要です。
【届出・相談先】:横浜市 みどり環境局 大気・音環境課 - 特定建設作業実施届出書(騒音・振動)
解体工事で使用する重機(バックホウなど)は、騒音規制法・振動規制法に基づき、作業開始の7日前までに届出が必要です。
【届出先】:横浜市 みどり環境局 大気・音環境課 - 建設リサイクル法の届出 (80㎡以上)
解体する建物の床面積が80㎡(約24坪)以上の場合、工事着手の7日前までに届出が必要です。
【届出先】:横浜市 資源循環局 事業系廃棄物対策課 - 【横浜市独自】建築物の解体工事届出書 (80㎡未満)
ここが横浜市の重要ポイントです。リサイクル法の対象外となる床面積80㎡未満の解体工事であっても、横浜市では市独自の条例に基づき、この届出書(「解体工事のお知らせ」標識の添付が必要)の提出が義務付けられています。
【届出先】:横浜市 資源循環局 事業系廃棄物対策課 - 道路使用許可証(該当する場合)
解体工事の際、足場やクレーン車、廃材搬出トラックが公道にはみ出して作業する場合、管轄の警察署に「道路使用許可」を申請します。これは通常、解体業者が行います。 - 建物滅失登記(工事完了後)
工事完了後、1ヶ月以内に法務局で「建物滅失登記」を行います。これを行わないと、存在しない建物の固定資産税が課税され続けるトラブルになります。登記はご自身でも行えますが、土地家屋調査士に依頼するのが一般的です。
4. 解体費用が高くなる要因と安く抑えるコツ
見積もりを取った際、想定より高額になるケースには明確な理由があります。
費用が高くなる主な要因
- 前面道路が狭い(狭隘道路)
横浜市は坂や狭い道が多く見られます。重機やトラックが現場に入れない場合、手作業(手壊し)での解体や、小型運搬車でのピストン輸送が必要となり、人件費・工期が大幅に増加します。 - アスベスト(石綿)の含有
特に昭和後期~平成初期の建物で、外壁塗材や内装材(石膏ボード)にアスベストが含有されているケースが非常に多くなっています。アスベストの除去・処分は専門的な作業となり、数十万~百万円以上の追加費用が発生します。 - 地中埋設物
建物を解体した後、地中から以前の建物の基礎やコンクリートガラ、浄化槽などが出てくることがあります。これは「地中障害物」と呼ばれ、見積もりには含まれていない追加工事(別途費用)となるのが一般的です。
解体費用を安く抑えるコツ
- 複数の解体業者で相見積もりを取る
費用を比較する上で最も重要です。最低でも3社からは見積もりを取りましょう。 - 付帯工事を明確にする
「ブロック塀」「駐車場」「庭木」など、どこまで解体・撤去してほしいのかを全社に同じ条件で伝えることが重要です。 - 家の中の残置物(不用品)は自分で処分する
家具や家電、布団などの「一般廃棄物」は、解体業者が「産業廃棄物」として処分すると高額になります。可能な限りご自身で処分(粗大ごみや不用品回収)するだけで、数十万円単位の節約になることがあります。
5. 横浜市で信頼できる解体業者を選ぶ5つのポイント
安さだけで業者を選ぶと、「不法投棄された」「近隣トラブルで工事が止まった」などの深刻な事態を招くことがあります。横浜市で優良な業者を選ぶポイントを紹介します。
- 解体工事業の許可(登録)があるか
大前提です。神奈川県知事または国土交通大臣による「解体工事業登録」または「建設業許可(解体工事業)」の許可番号を必ず確認しましょう。 - 見積書が「一式」ではないか
「解体工事一式 〇〇円」といった大雑把な見積もりを出す業者は危険です。「仮設足場」「養生シート」「重機回送費」「廃材運搬費」「諸経費」など、項目ごとに詳細な金額が記載されているか確認します。 - 横浜市の法令・届出に精通しているか
前述の「80㎡未満の独自届出」や、各区役所ではなく「資源循環局」や「みどり環境局」といった市の担当課に届出が必要であることを把握している業者は、横浜市での経験が豊富である証拠です。 - アスベストの調査資格者が在籍しているか
現在、アスベストの事前調査は「建築物石綿含有建材調査者」などの有資格者が行う必要があります。資格者が在籍しているか確認しましょう。 - 損害賠償保険に加入しているか
万が一、工事中に隣家を傷つけてしまった場合に備え、業者が「損害賠償責任保険」に加入しているかを確認することも重要です。
これらの条件をすべて自分で確認するのは大変な作業です。『解体あいみつ』のような一括見積もりサービスでは、これらの基準をクリアした横浜市対応の優良業者を厳選してご紹介します。お気軽にご相談ください。
よくある質問(横浜市)
横浜市で古い空き家を解体したい。補助金は使えますか?
はい、使えます。昭和56年5月31日以前に着工された木造住宅で、市の耐震診断により倒壊の危険性があると判断された場合、「木造住宅除却補助制度」の対象となり得ます。旧耐震(昭和56年5月31日以前)の場合は上限50万円、新耐震グレーゾーン(平成12年5月31日以前)の場合は一般上限20万円の補助が受けられる可能性があるため、まずは建築防災課にご相談ください。
床面積が小さい(80㎡未満)解体でも届出は必要ですか?
はい、必要です。国の建設リサイクル法(80㎡以上)の対象外であっても、横浜市独自のルールにより「建築物の解体工事届出書」を資源循環局に提出する必要があります。
アスベストや騒音の届出先は区役所ですか?
いいえ。横浜市の場合、届出先は区役所ではなく、市役所内の専門部署「みどり環境局 大気・音環境課」となります。
まとめと一次情報リンク
横浜市での解体工事は、費用相場を把握すると同時に、市独自の補助金制度(木造住宅除却、ブロック塀撤去)を最大限活用することが重要です。また、法令遵守の面では、国の法律(リサイクル法)だけでなく、市独自のルール(80㎡未満の届出)や、市役所の専門部署(資源循環局、みどり環境局)への届出が必須となります。
これらの複雑な手続きや、横浜市の地理的条件(狭隘道路・坂道)を熟知した優良な解体業者を選ぶことが、トラブルを防ぎ、費用を最適化する一番の近道です。



