品川区｜解体・ブロック塀撤去・耐震・老朽建築物除却・アスベスト・建設リサイクル法の完全ガイド
最初に押さえる3原則（結論）
- 制度適合の一次判定を最初に：ブロック塀安全化／木造耐震（診断・改修・除却）／不燃化特区支援／アスベスト／建設リサイクル法の該当可否を冒頭で確定。
- 交付決定前の契約・着工はNG：原則は申請→交付決定→契約→着工→完了報告。順序違反は不支給の典型。
- 相見積は同一仕様で：本体、付帯（外構・残置・地中障害）、仮設/養生、運搬/処分、石綿、近隣対策を分離。数量根拠写真で比較可能性を担保。
品川区は木密・不燃化特区を含む多様な市街地特性を抱え、制度選定と工程設計の整合が成否を左右します。初手で制度の当て込みと書類段取りを固め、工事停止・再施工のリスクを回避しましょう。
品川区の主な制度（カード＋比較表）
コンクリートブロック塀等 安全化支援
- 対象：道路等に面し、危険なコンクリートブロック塀・石塀 等。
- 支援：除却・軽量フェンス等の設置費用を助成（詳細は要綱参照）。
- 備考：生垣化や木造除却との併用案内あり（不燃化特区・木密関連）。
- 一次情報：品川区：コンクリートブロック塀等安全化支援
- 参考資料（制度概要PDF）：道路沿いブロック塀等の除却助成パンフ
住宅・建築物の耐震化支援（診断・設計・改修・除却）
- 対象：木造住宅（新耐震拡充あり）。※平成12年5月31日以前着工の木造も対象に拡充（除却を除く）。
- 支援：補強設計・耐震改修・除却（解体）の助成が令和9年度まで拡充中（上限・率が期間限定で増）。
- 一次情報：品川区：耐震化支援事業（制度変更点掲載）／新耐震木造への助成開始
不燃化特区支援（移転・除却等）
- 内容：不燃化特区内の除却や移転に関する各種助成。令和7年度までの期限付き枠あり。
- 一次情報：品川区：不燃化特区支援制度
木造建築物の除却助成（木密・不燃化関連）
- 内容：木造建築物の除却に対し、床面積×単価方式の助成（上限あり）。令和7年7月1日から上限増額。
- 一次情報：品川区：助成金の内容（除却助成）
アスベスト（石綿）関連手続
- 義務：全解体・改修で事前調査が必須。
- 電子報告：解体80㎡以上／改修・工作物100万円以上は、元請が国システムで事前調査結果を行政に報告。
- 一次情報：品川区：石綿（アスベスト）について
建設リサイクル法（分別解体・届出）
- 対象：延床80㎡以上の建築物解体 等。
- 届出：着工7日前まで。令和7年4月1日から全面電子申請。
- 一次情報：品川区：建設リサイクル法の届出関係
- 参考PDF：解体工事時の届出・掲示（一覧）
| 制度名 | 主な対象 | 助成の考え方（例） | 重要条件 | 一次情報 |
|---|---|---|---|---|
| ブロック塀安全化 | 道路等に面し危険な塀 | 除却・軽量フェンス設置の費用支援 | 契約前申請・現地確認・要綱適合 | 公式 |
| 耐震化支援 | 旧耐震〜新耐震まで段階的に対象 | 診断・設計・改修・除却を助成（R9まで拡充） | 交付決定→契約→着工／同時申請の加算あり | 公式 |
| 不燃化特区支援 | 不燃化特区内の除却・移転 等 | 移転助成・除却等の枠あり | 令和7年度までの期限枠に留意 | 公式 |
| 木造除却助成 | 木造建築物の除却（木密・不燃化関連） | 床面積×単価方式（上限はR7.7.1増額） | 実費と算定額の小さい方が助成額 | 公式 |
| アスベスト | 全解体・改修 | 事前調査・規模により電子報告 | 現場掲示・記録保存が必須 | 公式 |
| 建設リサイクル法 | 延床80㎡以上の解体 等 | 着工7日前まで届出・電子申請 | 図面・工程表・契約書写し 等 | 公式 |
申請〜交付〜完了までの実務フロー
- 現況整理：所在地、構造・築年、延床/階数、前面道路幅員、塀高さ/延長、引込（電気/ガス/水道/通信）、隣接用途（学校・病院・商店街等）、石綿予測。
- 制度当て込み：ブロック塀／耐震（診断・設計・改修・除却）／不燃化特区／アスベスト／建リ法。併用可否と時系列を確定。
- 見積仕様の統一：本体、付帯（外構・残置・地中障害・井戸/浄化槽）、仮設/養生、運搬/処分、石綿（調査→電子報告→除去→処分）、近隣対策を分離記載。
- 交付申請：写真・図面・工程表・見積内訳・資格情報を添付。交付決定前の契約・着工は禁止。
- 交付決定→契約→着工：決定通知後に契約。作業時間帯、散水、騒音/振動/粉じん計測、掲示、苦情初動を工程表に明記。
- 完了報告・精算：前中後写真、領収書、産廃マニフェスト、契約関連写し→額確定→請求。
- 解体後：滅失登記、固定資産税の取扱い確認、次用途（建替/売却/暫定活用）。
見積と費用設計（相場・内訳・落とし穴）
木密や商業近接エリアを抱える品川区では、仮設・交通誘導・運搬/処分の差が費用に直結します。相見積の可視化には以下が有効です。
- 付帯の線引き：塀・基礎・庭木・門扉・看板・残置物・地中障害（旧基礎/ガラ/井戸/浄化槽）。
- 仮設/養生：足場、仮囲い、防音/防塵シート、散水、誘導員、計測頻度。
- 分別・処分：木/金属/コンクリ/石膏ボード等の分別、処分場と単価根拠、積替え有無。
- 石綿：調査資格、分析、隔離/陰圧、除去工法、処分、掲示・記録。
- 追加費用条件：地中障害、時間帯制限、臨時誘導などは契約条項で事前定義。
典型的な失敗：「一式」見積／交付決定前契約／工程表省略／石綿別精算／写真不足。変更管理（承認フロー）を契約に明記して双方のリスクを低減します。
アスベスト（石綿）：調査・電子報告・掲示
- 事前調査義務：全ての解体・改修で有資格者が調査。結果は書面化・保存。
- 電子報告：解体80㎡以上、改修/工作物100万円以上は、石綿事前調査結果を行政へ電子報告（元請責任）。
- 掲示：調査結果の現場掲示（A3以上）、作業記録の保存。
建設リサイクル法：電子届出・必要書類
- 対象：延床80㎡超の解体等。
- 届出者：発注者（建築主）（代理提出は委任状）。
- 期限：着工7日前まで。令和7年4月1日から全件電子申請。
- 添付：届出書、案内図、配置・平面・立面、工程表、契約書写し、分別解体計画、写真 等。
近隣配慮・安全管理・トラブル未然防止
- 着工前挨拶：工期・作業時間・車両動線・粉じん/騒音対策を周知。学校・商店街・病院は時間帯調整。
- 掲示・計測：石綿掲示、工程掲示、騒音/振動/粉じんの定期計測と記録化。日報・週報で可視化。
- 安全計画：仮囲い高さ、転倒防止、見通し確保。交差点・狭隘路は誘導員を強化。
- 初動対応：苦情→原因特定→是正→再発防止までのフローを契約書に反映。
提出書類チェックリスト
- 共通：申請書、誓約/同意、委任状、登記事項証明、税完納証明、位置図、配置図、現況写真。
- 見積・契約：見積内訳、数量根拠写真、工程表、契約書案/契約書、施工体制（資格/登録写し）。
- 耐震：診断報告、補強設計図、評点、施工計画、完了実績書。
- ブロック塀：案内図・配置図、危険度判定、高さ/延長根拠、見積、完了写真。
- アスベスト：事前調査記録、電子報告控、（該当）14日前届出控、掲示様式、作業計画、処分証。
- 建リ法：届出書、分別解体計画、図面、工程表、契約書写し、委任状、写真（正副）。
- 完了：前中後写真、領収書、産廃マニフェスト、契約関連写し。
よくある質問（品川区）
交付決定前に契約してしまったら？
原則対象外です。ブロック塀助成や耐震・不燃化関連の枠も、契約前・着工前の申請が前提です。至急、担当窓口に相談してください。
木造の除却助成はどのくらい出ますか？
床面積×単価方式で上限あり（令和7年7月1日から上限増額）。実費と算定額の小さい方が助成額になります。詳細は一次情報でご確認ください。
新耐震の木造でも対象になりますか？
除却を除く耐震支援については、平成12年5月31日以前着工の木造まで対象が拡大されています（制度詳細は公式の「耐震化支援事業」を参照）。
建設リサイクル法の届出は紙でも可能？
令和7年4月1日から、品川区の受付は全件電子申請になりました。手順は公式の案内ページをご確認ください。
一次情報リンク一覧（公式）
- ブロック塀等安全化支援 … 品川区
- （参考PDF）ブロック塀除却助成パンフ … PDF
- 耐震化支援事業（制度拡充・R9まで） … 品川区
- 新耐震木造への助成開始（お知らせ） … 品川区
- 不燃化特区支援制度（令和7年度まで） … 品川区
- 木造除却助成（助成金の内容） … 品川区
- 石綿（アスベスト）について（事前調査・報告） … 品川区
- 建設リサイクル法の届出関係（電子申請） … 品川区
- （参考PDF）解体工事の届出・掲示一覧 … PDF
※助成額・要件・受付状況は年度や区域、要綱改定で変更される場合があります。申請直前に必ず最新の一次情報（品川区公式）をご確認ください。
