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更地にすると固定資産税は上がる|増えた分を減免してくれる自治体一覧(2026年9月時点)
住宅を解体して更地にすると、土地の固定資産税は上がります。住宅用地の特例が外れるためです。千葉市の案内では「市内の平均では土地の税額が概ね3倍に増えます」と説明されています。
ただし、その増えた分を減免してくれる自治体があります。制度がある市町村では、申請すれば1年から最長5年にわたって「解体しなかった場合と同じ税額」まで戻ります。この記事では、公式サイトで確認できた自治体を減免年数つきで一覧にしました。
なぜ更地にすると税金が上がるのか
住宅が建っている土地には住宅用地の特例があり、課税標準額が大幅に下がっています。
| 区分 | 固定資産税の課税標準 |
|---|---|
| 小規模住宅用地(住宅1戸につき200㎡以下の部分) | 評価額×6分の1 |
| 一般住宅用地(200㎡を超える部分) | 評価額×3分の1 |
建物を解体すると、この特例が適用されなくなります。計算上の倍率は最大6倍ですが、実際には負担調整の仕組みがあるため単純に6倍にはなりません。千葉市は市内の平均で概ね3倍と説明しています。
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一方、建物にかかっていた固定資産税は解体によってなくなります。建物の税額と土地の増加額のどちらが大きいかは、建物の評価額と土地の評価額の関係によって変わります。築年数の古い木造住宅は建物の評価額がほぼ残っていないため、多くの場合は解体すると総額で増えます。
国は「全国一律の制度化は難しい」としています
この問題について、国土交通省住宅局は2023年(令和5年)12月13日付で、各都道府県・指定都市の空き家対策担当部局に事務連絡を出しています。件名は「地域の実情に応じた、一定の空き家を除却した場合の固定資産税等に係る負担軽減措置について(情報提供)」です。
そこにはこう書かれています。
固定資産税等の負担軽減措置を講ずることは、他の更地との税負担の公平性等の観点から全国的な制度としては難しいと考えられます。
つまり国の制度としては作らないという整理です。そのかわり国は、独自に負担軽減措置を講じている市町村の実例を調査し、その情報を都道府県経由で市町村に周知しています。
この調査の対象は66市町村で、「約8割は税制により、約2割が予算により措置している」「減免する期間は、『除却後3年以内』が全体の約6割」とされています。
ここが実務上いちばん重要な点です。この減免は国の制度ではなく、市町村ごとの制度です。隣の市にあっても自分の市にあるとは限りません。
解体後の固定資産税を減免する自治体一覧
公式サイトで内容を確認できたものを、減免年数の長い順に並べました。
| 自治体 | 減免年数 | 主な条件 |
|---|---|---|
| 坂出市(香川県) | 最大5年間 | 昭和56年5月31日以前の建築確認/おおむね1年以上空き家/市の老朽空家等確認書が必要/法人は除外/市税滞納なし。令和5年4月1日〜令和10年3月31日の除却が対象 |
| 東京都(不燃化特区内) | 最長5年度分/税額の8割 | 不燃化特区内/老朽住宅が耐用年限の3分の2を超過/令和13年3月31日までの取壊し/防災上有効な空地として適正管理されていると区が証明/第1期の納期限(6月30日)までに申請。空き家であることは要件ではありません |
| 深谷市(埼玉県) | 3年度分 | 昭和56年5月31日以前に着工/居住していない期間がおおむね1年以上/一戸建て/納税義務者が個人(法人が含まれると対象外)/市税滞納なし |
| 愛川町(神奈川県) | 3年度分 | 危険空き家等(助言・指導を受けている特定空家等など)/町税滞納なし/減免を受けようとする年度の第1期納期限までに申請。令和5年度〜令和9年度の制度 |
| 村上市(新潟県) | 3年度間 | 特定空家等として勧告を受けていない住宅/令和6年10月1日〜令和11年3月31日の解体/解体した日から翌年1月31日までに申請 |
| 志免町(福岡県) | 3年度分 | 木造または軽量鉄骨造に限る/不良度判定50点以上または周辺への悪影響/個人/町税滞納なし/町職員の現地調査前に除却すると対象外 |
| 八千代市(千葉県) | 2年度分 | 昭和56年5月31日以前に着工した旧耐震基準の空家住宅/概ね1年以上/個人のみ/市税滞納なし/申請は除却の翌年または翌々年の3月1日〜3月31日 |
| 木更津市(千葉県) | 2年間 | 概ね1年以上空家/勧告を受けていない/2028年3月末までに除却/空家バンクへの登録が必須(売却意思があるもの)/個人/市税滞納なし/最初の納期限までに申請 |
| 三条市(新潟県) | 上限2年度間 | 特定空家等に限定/解体前の事前相談が必須(事前相談なく解体すると対象外)/市税滞納なし/継続申請は毎年11月末まで |
| 宮古市(岩手県) | 最長2年度分 | 2年以上使用されていない住宅/法人等が所有するものは対象外/市税滞納なし/申請は毎年1月中(申請がなければ減免されない) |
| 千葉市(千葉県) | 1年度分 | 1年以上空き家/法人または法人を含む共有は対象外/勧告を受けた空家と認定長期優良住宅は対象外/2026年8月1日以後の除却/解体した翌年の4月末日までに申請。解体前でも申請できます |
並べてみると、条件の付き方が自治体によってまったく違うことがわかります。
- 築年要件があるところ(坂出市・深谷市・八千代市は昭和56年5月31日以前)と、ないところ(千葉市・木更津市・志免町)
- 特定空家等に限定するところ(三条市・愛川町)と、逆に勧告を受けた空家を除外するところ(千葉市・村上市・木更津市)
- 構造を限定するところ(志免町は木造・軽量鉄骨造のみ)
- 解体後の使い道まで条件にするところ(木更津市は空家バンク登録が必須)
「勧告を受けた空家を除外する」のは一見不親切に見えますが、理由があります。勧告を受けた空家は、解体しなくてもすでに住宅用地特例が外れているため、解体によって税額が増えるわけではないからです。
首都圏で使えるのはこの6つ
東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県で公式サイトで確認できたのは、次の6つです。
| 都県 | 自治体・制度 | 減免年数 |
|---|---|---|
| 東京都 | 不燃化特区内の老朽住宅等除却後の土地に対する減免 | 最長5年度分(税額の8割) |
| 埼玉県 | 深谷市 | 3年度分 |
| 神奈川県 | 愛川町 | 3年度分 |
| 千葉県 | 八千代市 | 2年度分 |
| 千葉県 | 木更津市 | 2年間 |
| 千葉県 | 千葉市(2026年8月1日開始) | 1年度分 |
市川市・松戸市・船橋市・柏市・川越市・熊谷市・相模原市・横浜市・さいたま市などについては、公式サイト上で同種の制度を確認できませんでした。「存在しない」と断定するものではありませんが、少なくとも公開情報としては見つかりません。
千葉市の制度は2026年8月1日に始まったばかりで、市は記者発表で「政令市初」と説明しています。詳細は千葉市の空き家解体で固定資産税が1年分減免される制度にまとめました。
どの制度にも共通する4つの落とし穴
1. 解体してすぐ売ると使えないことがある
多くの自治体が「解体時の所有者と、翌年1月1日時点の納税義務者が同一であること」を条件にしています(相続による取得は例外とされるのが一般的)。年内に解体して年内に売却すると減免を受けられません。売却を前提に解体するなら、売買の時期と減免のどちらを取るかを先に決めてください。
2. 法人名義はほぼ対象外
坂出市・深谷市・八千代市・木更津市・宮古市・志免町・千葉市はいずれも個人所有に限定しています。深谷市と千葉市は共有名義に法人が1人でも含まれると対象外です。
3. 解体する前に動かないと間に合わない自治体がある
これがいちばん取り返しのつかない落とし穴です。
- 三条市:「事前相談なく解体された場合は、減免の対象となりません」
- 志免町:「町職員による現地調査前に除却工事を行った場合、減免の対象となりません」
- 坂出市:老朽空家等確認書の交付を受けてから除却する流れ
解体してしまってからでは手遅れです。自分の市に制度があるかどうかは、解体業者に発注する前に確認してください。
4. 市税の滞納があると使えない
坂出市・三条市・宮古市・志免町・深谷市・愛川町・八千代市・木更津市が明記しています。滞納があるとその時点で対象外です。
逆に、放置していても特例は外れます
「解体すると税金が上がるなら、そのまま置いておこう」という判断は、2023年の法改正で成り立たなくなりました。
空家等対策の推進に関する特別措置法の改正(令和5年法律第50号)により、市区町村長から勧告を受けた特定空家等に加えて、新設された管理不全空家等の敷地についても、住宅用地特例の適用対象から除外されることになりました。
| 区分 | 定義(国土交通省資料) |
|---|---|
| 特定空家等 | そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態、著しく衛生上有害となるおそれのある状態などに該当する空家等 |
| 管理不全空家等 | 適切な管理が行われていないことによりそのまま放置すれば特定空家等に該当することとなるおそれのある空家等 |
つまり解体しても特例は外れ、放置して勧告を受けても特例は外れます。どちらにしても土地の税額は上がるということです。この点を踏まえると、判断の軸は「税金が上がるかどうか」ではなく「いつ、どういう形で手放すか/使うか」になります。
管理不全空家等の指定基準と、指定される前に取れる手については空き家の固定資産税が6倍になる仕組みと管理不全空家のリスクで詳しく整理しています。
自分の市に制度があるか調べる方法
制度の名前が自治体によってばらばらなので、検索では見つけにくいのが実情です。次の順で確認するのが確実です。
- 市区町村名+「空き家 除却 固定資産税 減免」で検索する。「解体」ではなく「除却」という語を使うのがコツです。行政の文書では除却と書かれます。
- 見つからなければ資産税課(固定資産税の担当課)に電話する。空き家の担当課ではなく税の担当課です。制度は税の減免として作られているため、資産税課のほうが確実です。
- あわせて空き家の担当課(住宅政策課・都市安全課・環境課など名称は自治体により異なる)にも確認する。坂出市の老朽空家等確認書のように、税の減免を受けるために別の課の証明が必要な場合があります。
- 解体費そのものの補助制度があるかも同時に聞く。減免と解体費補助は別制度で、両方ある自治体もあります。
また、住宅を取り壊したときは固定資産税の住宅用地申告書などの届出が必要な自治体があります。減免申請とは別の手続きなので、あわせて確認してください。
解体のタイミングで税額はどう変わるか
固定資産税は1月1日時点の状況で決まります(賦課期日)。このため解体の時期によって、その年の税額が変わります。
| 解体した時期 | その年の課税 | 翌年の課税 |
|---|---|---|
| 1月2日〜12月31日 | 建物あり・住宅用地特例あり(1月1日時点で建物があったため) | 建物なし・住宅用地特例なし |
つまり1月2日以降に解体すれば、その年は建物があるものとして課税され、土地の特例も維持されます。逆に12月中に解体を終えるか1月中旬に終えるかで、1年分の税額が変わります。
ただし年末年始は解体業者の繁忙期にあたり、工期も費用も読みにくくなります。1月中旬以降に完了させる段取りのほうが、費用・工期・税額のすべてでバランスが取りやすいです。
なお建替えの場合は、建築中の土地について申請により住宅用地として扱う救済規定を持つ自治体があります(鎌ケ谷市など)。建替え予定があるなら、この点も資産税課に確認してください。
よくある質問
更地にすると固定資産税は何倍になりますか。
住宅用地特例の計算上の倍率は小規模住宅用地で6倍ですが、負担調整の仕組みがあるため単純に6倍にはなりません。千葉市は市内の平均で概ね3倍と説明しています。土地の評価額と面積によって変わるため、正確な額は市区町村の資産税課で確認してください。
減免制度はどの自治体にもありますか。
ありません。国は「全国的な制度としては難しい」としており、市町村ごとの独自制度です。国土交通省が2023年に情報提供した調査の対象は66市町村でした。
解体してから申請すれば間に合いますか。
自治体によります。千葉市は解体後でも翌年4月末日まで申請できますが、三条市は「事前相談なく解体された場合は、減免の対象となりません」、志免町は「町職員による現地調査前に除却工事を行った場合、減免の対象となりません」としています。解体前に確認するのが確実です。
解体費の補助金とは別ですか。
別の制度です。解体費の補助は工事費の一部を補助するもの、固定資産税の減免は解体後の税負担を軽くするものです。両方ある自治体もあります。
賃貸に出していた家でも対象になりますか。
多くの自治体が「おおむね1年以上、居住その他の使用がなされていないこと」を条件にしています。宮古市は2年以上です。直近まで賃貸していた建物は対象外になる可能性が高いです。
すでに勧告を受けている空き家は対象になりますか。
千葉市・村上市・木更津市では対象外です。勧告を受けた空家はすでに住宅用地特例が外れているためです。逆に三条市・愛川町は特定空家等を対象にしています。
減免より効くのは相見積もりです
減免制度は年間数万円規模の話です。一方、解体工事の見積額は業者によって数十万円変わります。制度の有無を調べるのと同時に、相見積もりを取ることをおすすめします。
木造住宅の解体費用の目安は坪単価3万円〜6万円、30坪で90万円〜180万円前後です。同じ建物でも、前面道路の幅、隣家との距離、残置物の量で金額は大きく変わります。現地を見た見積もりを2〜3社から取るのが基本です。見積書は減免や補助金の申請書類にも必要になります。
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最終確認日と出典
最終確認日:2026年9月17日/各自治体の公式ページおよび国の資料を出典としています。制度の有無・減免年数・受付状況は変わることがあります。申請前に必ず担当課へご確認ください。
- 国土交通省住宅局|地域の実情に応じた、一定の空き家を除却した場合の固定資産税等に係る負担軽減措置について(令和5年12月13日・PDF)
- 国土交通省|固定資産税等の住宅用地特例に係る空き家対策上の措置(PDF)
- 総務省|固定資産税の概要
- 千葉市|空き家の除却に係る固定資産税等の減免制度のご案内
- 八千代市|老朽化した空家等を除却した土地の固定資産税等を減免します
- 木更津市|空家除却に係る固定資産税の減免制度
- 深谷市|老朽化した空家等を除却した土地の固定資産税等の減免
- 愛川町|危険空き家等の解体・除去に係る固定資産税等の減免
- 東京都主税局|不燃化特区内における老朽住宅等除却後の土地に対する減免
- 坂出市|空き家の除却に係る土地の固定資産税の減免
- 三条市|特定空家の解体に係る固定資産税等の減免措置
- 村上市|住宅である空き家を解体した土地の固定資産税の減免
- 宮古市|空家を解体撤去した後の土地の固定資産税を減免します
- 志免町|空き家解体後の土地の固定資産税を減免します


