解体お役立ち情報
罹災証明書の申請と、片付ける前に撮るべき写真|全壊・半壊の判定基準と再調査
大雨で家が被害を受けたとき、あとから効いてくる書類が一つあります。罹災証明書です。
公費解体、被災者生活再建支援金、住宅の応急修理、市税の減免、災害見舞金――被災後に使える制度のほとんどが、この一枚を起点に動きます。逆に言えば、これがないと何も始まりません。
そしてもう一つ。罹災証明書の前に、写真があります。片付けや修理を始める前に撮った写真がないと、被害の程度を証明できなくなることがあります。
いま家が濡れている方へ:先に写真を撮ってください
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四街道市は公式サイトで、こう案内しています。
「申請前に修繕を行う場合は、必ず被害状況が分かる写真を撮ってください。写真がない場合は、市で被害の程度を証明することはできません。」
千葉市も「片付けや修理の前に被害状況を写真に撮って保存していただきますようお願いします」と呼びかけています。
片付けたい気持ちはわかります。ただ、スマホで10枚撮るだけで、あとの手続きが全部通りやすくなります。
撮っておくべき写真
市町村が案内している内容を整理すると、次のような写真が役に立ちます。特別な機材は要りません。スマホで十分です。
| 撮るもの | ポイント |
|---|---|
| 建物の全景(4方向) | 家の全体が入るように、東西南北それぞれから1枚。表札や住所がわかるものが写っていると確実 |
| 浸水の高さ | 壁に残った水の跡と、メジャーや身近なもの(ペットボトル、ドアノブなど)を一緒に写して高さがわかるように |
| 床上か床下かがわかる写真 | 床の高さと水位の関係がわかる角度で。床上浸水かどうかは支援の分かれ目になります |
| 部屋の中の被害 | 各部屋の床・壁・天井。濡れた畳やフローリングの膨れ、壁紙の剥がれ |
| 設備の被害 | キッチン、風呂、給湯器、エアコン室外機、分電盤、床下 |
| 家財 | 使えなくなった家電・家具。型番が写るように撮っておくと保険で役立ちます |
| 撮影日がわかること | スマホなら自動で記録されます。日付を書いた紙を一緒に写すとより確実 |
枚数は多いほうがいいです。「あとで整理すればいい」と思って、まず撮ってください。
罹災証明書と「被災証明書」は別のものです
窓口で混乱しやすい点なので、先に整理します。
| 項目 | 罹災証明書 | 被災証明書(罹災届出証明書) |
|---|---|---|
| 対象 | 住家(現に居住のために使用している建物) | 非住家、建物以外の不動産、動産(事務所、店舗、車庫、塀、門、車両など) |
| 証明する内容 | 被害の程度(全壊・半壊など) | 被害が生じたことのみ |
| 使えるもの | 公費解体、支援金、応急修理、税の減免など | 被害の事実を示す必要がある場面 |
四街道市の案内には、罹災届出証明書について「(注釈)被害の程度は証明できません。」とはっきり書かれています。公費解体や支援金に必要なのは、程度まで証明される罹災証明書のほうです。
罹災証明書の交付は、災害対策基本法第90条の2にもとづくものです。市町村長は被災者の申請により「遅滞なく」交付する義務を負っています。お願いして出してもらうものではなく、申請すれば出るべき書類です。
被害の程度は「損害割合」で決まります
内閣府の「災害に係る住家の被害認定基準運用指針」(令和8年6月版)で、区分は次のように定められています。
| 区分 | 損害割合 | 損壊部分の延床面積割合 |
|---|---|---|
| 全壊 | 50%以上 | 70%以上 |
| 大規模半壊 | 40%以上50%未満 | 50%以上70%未満 |
| 中規模半壊 | 30%以上40%未満 | 30%以上50%未満 |
| 半壊 | 20%以上30%未満 | 20%以上30%未満 |
| 準半壊 | 10%以上20%未満 | 10%以上20%未満 |
| 準半壊に至らない(一部損壊) | 10%未満 | 10%未満 |
全壊の定義は、指針の原文で「住家全部が倒壊、流失、埋没、焼失したもの、または住家の損壊が甚だしく、補修により元通りに再使用することが困難なもの」で、損害割合が50%以上に達した程度のものとされています。
この区分がなぜ重要かというと、使える制度が区分ごとに変わるからです。
- 全壊:公費解体の対象になり得る。被災者生活再建支援金の基礎支援金も対象
- 大規模半壊・中規模半壊・半壊・準半壊:災害救助法の住宅の応急修理の対象
- 半壊で解体する場合:被災者生活再建支援金では「半壊等解体」として全壊と同じ扱いになります
金額の詳細は「被災した家の解体とお金|支援金・応急修理・固定資産税・所得税」にまとめました。
調査は2段階あり、2回目は申請しないと来ません
ここが実務でいちばん見落とされる点です。同じ運用指針の原文から引用します。
| 調査 | 内容 |
|---|---|
| 第1次調査 | 「外観目視調査により、外観の損傷状況の目視による把握、住家の傾斜の計測及び住家の主要な構成要素(外観から調査可能な部分に限る。)ごとの損傷程度等の目視による把握を行う」 =外から見るだけの調査 |
| 第2次調査 | 「外観目視調査及び内部立入調査により」行う =室内に入って見る調査 |
そして指針には、こう書かれています。
「第2次調査は、第1次調査を実施した住家の被災者から申請があった場合に実施する。」
第2次調査は自動では来ません。水害の場合、外から見ただけでは室内の被害の実態はわかりません。床下の断熱材が水を吸っている、壁の内部が濡れている、床組みが歪んでいる――こうした被害は立ち入らないと評価されません。
第1次調査の判定が実感より軽いと感じたら、迷わず第2次調査を申請してください。それでも納得できない場合、さらに再調査を依頼できます。指針には「被災者から判定結果に関する再調査の依頼があった場合には、当該被災者の依頼の内容を精査し、再調査が必要と考えられる点があれば、その点について再調査を行う」と定められています。
判定は最終決定ではありません。おかしいと思ったら言っていい、という前提で制度がつくられています。
申請の期限
災害対策基本法は「遅滞なく交付する」と定めるだけで、全国一律の申請期限は定められていません。期限は市町村がそれぞれ設定しています。
確認できた例として、四街道市は「原則として被害を受けた日から6か月を経過する日」を期限としています。千葉市の公式ページでは申請期限の明記を確認できませんでした。
つまり「期限はお住まいの市町村に確認してください」が正確な答えです。ただ、いずれにしても早いほうが有利です。時間が経つほど被害の状況がわからなくなり、判定が軽くなるおそれがあります。
解体してしまったあとでも申請できるのか
結論から言うと、写真があれば可能性があります。写真がなければ厳しいです。
内閣府の運用指針には、こう書かれています。
「片付け、修理、解体、積雪等により十分に確認できない場合は、被災者から提供を受けた写真や被災者への聞き取り結果により損傷状況を把握することも考えられる。」
「考えられる」という表現です。つまり、解体後でも写真と聞き取りで認定する道は制度上残されています。ただし現物を確認できないため、写真の有無がそのまま判定を左右します。そして市町村レベルでは、四街道市のように「写真がない場合は、市で被害の程度を証明することはできません」とはっきり書いているところもあります。
すでに片付けてしまった、壊してしまったという方も、諦める前に手元の写真を探してください。スマホのカメラロール、家族や近所の人が撮った写真、SNSに投稿した画像、保険会社に送った写真、修理業者が撮った写真――どれも証拠になり得ます。
申請の流れ
- 写真を撮る/集める(片付ける前に。すでに片付けた場合は手元の写真を探す)
- 市役所の窓口で申請(多くの市町村では税務担当課または危機管理担当課。市原市は固定資産税課が窓口です)
- 第1次調査(外観目視)
- 判定・罹災証明書の交付
- 納得できなければ第2次調査を申請(室内立入)
- それでも納得できなければ再調査を依頼
- 証明書をもとに各制度を申請(公費解体、支援金、応急修理、税の減免など)
窓口の名称は市町村によって違います。「罹災証明書の申請をしたい」と伝えれば案内してもらえます。
あわせて知っておきたいこと
コピーは多めにもらってください
罹災証明書は、公費解体・支援金・応急修理・税の減免・保険の請求など、複数の場面で提出を求められます。1枚だと足りません。必要枚数を窓口で相談してください。なお千葉市は、今回の豪雨の被災者について各種証明書の交付手数料を免除しています。
解体を考えているなら、証明書が出てからでも遅くありません
「早く壊さないと」と焦る必要はありません。全壊の判定が出れば公費解体の対象になり得ますし、自費で壊す場合も契約前に市へ相談したほうが償還額で有利になります。手順は「水害で全壊した家は公費解体が使えます」に詳しく書きました。
災害に便乗した業者に気をつけてください
市原市も公式サイトで「災害に便乗した悪質商法にご注意ください」と注意喚起しています。被災直後に訪ねてきて契約を急がせる業者には、その場で判断しないでください。一度断って、市の窓口に確認する時間をとることが自分を守ります。
このページの出典
- 内閣府「災害に係る住家の被害認定基準運用指針」令和8年6月版
- 内閣府「罹災証明書の概要」
- 千葉市「罹災証明書・被災証明書の交付」(令和8年9月9日更新)
- 四街道市「罹災証明書及び罹災届出証明書の発行について」
- 千葉県「罹災証明書について」
- 市原市「令和8年8月千葉豪雨で被災された方への支援(令和8年9月15日時点)」
- 災害対策基本法第90条の2
最終確認日:令和8年9月24日。申請窓口・期限は市町村ごとに異なり、変更されることがあります。必ずお住まいの市町村の公式案内をご確認ください。


